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真夏の方程式

テレビドラマ『ガリレオ』の劇場版『真夏の方程式』を観に行きました。
テレビドラマの劇場版を観るのは、今年初めてかもしれません。
例年だと2ヶ月に一本強のペースで観ていたのに、半年ちかく観ませんでした。
それはボクの興味あるテレビドラマの劇場版が公開されなかったからではなく、
テレビドラマの劇場版自体がほとんど公開されなかったからだと思います。
(目ぼしい劇場版は『鈴木先生』くらいじゃなかったですか?)
映画ファンのボクとしては、テレビドラマの劇場版にも面白い作品はあるものの、
本来なら映画とテレビは区別すべきだと思っているので、これは良い傾向だと思います。

しかし上半期とは一転して、下半期はまたテレビドラマの劇場版が増えるようです。
『謎解きはディナーのあとで』や『ATARU』、『SPEC』は2本も公開されます。
この半年はたまたま劇場版の公開がなかっただけということみたいですね…。
でもまだテレビドラマは、映画と同じ演劇だし、劇場版になるのも許せますが、
バラエティ番組の劇場版『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』なんてのは、
いくらなんでも映画を愚弄しすぎで、とても不愉快です。
そんなのお笑いDVDで十分だし、上映する映画館にも「誇りはないのか」と問いたいです。

ということで、今日は今年初鑑賞となるテレビドラマ劇場版の感想です。

真夏の方程式
真夏の方程式

2013年6月29日公開。
東野圭吾原作、福山雅治主演のテレビドラマ『ガリレオ』シリーズの劇場版第2作。

きれいな海に面した玻璃ヶ浦で計画されている、海底鉱物資源の開発。その説明会に招待された物理学者・湯川学(福山雅治)は、緑岩荘という旅館を滞在先に選ぶ。そして、そこで夏休みを過ごす旅館を営む川畑夫婦(前田吟、風吹ジュン)のおい、恭平と知り合う。次の朝、堤防下の岩場で緑岩荘に宿泊していたもう一人の客・塚原の変死体が発見される。図らずも事件に直面した湯川は、旅館廃業を考えていたという川畑夫婦や、夫婦の娘で環境保護活動に奔走する成実(杏)らと塚原の思わぬ因縁を知る。(シネマトゥデイより)



東野圭吾の推理小説「ガリレオ」シリーズの6作目『真夏の方程式』を実写化した本作。
ボクは東野圭吾の小説の実写化映画が好きで、本作にも期待していたのですが、
一般的には福山雅治主演のテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版ってイメージですよね。
本作の公開に先立って放送されたテレビドラマ『ガリレオ』のシーズン2は、
平均視聴率19.9%で今クール最高のヒットドラマとなりました。
ボクはドラマを見ないタイプですが、本作をちゃんと楽しみたいので全話視聴しました。
実は『ガリレオ』のシーズン1は全く見ていません。
「ガリレオ」実写化作品を初めて観たのは劇場版第一作の『容疑者Xの献身』でしたが、
シーズン1放送当時は劇場版化されるとは思ってなかったので、
映画のみの東野圭吾ファンのボクとしては特に関心を持ちませんでした。
ドラマのシーズン1を見てなくても映画『容疑者Xの献身』は普通に楽しめたので、
今回も全くシーズン2を見なくても、本作を楽しむのに支障はないだろうとも思ったけど、
露骨にドラマを引きずる劇場版も結構あるので、一応シーズン2は見ておこうかと。

でもその甲斐なく、今回もドラマを見ていなくても十分楽しめる映画でした。
むしろドラマのノリや雰囲気とはかなり違う作風なので、逆に違和感があったかも…。
本作はコメディ的なノリのドラマとは一転して、『容疑者Xの献身』同様シリアスです。
福山雅治演じる湯川准教授も「実に面白い」「さっぱりわからない」など、
ドラマでの決まり文句は一切使いませんし、変人さもかなり控えめで、
真相がわかった時に所構わず数式を書くようなお決まりの演出もありません。
ハライチ澤部演じる刑事や渡辺いっけい演じる助手など、
ドラマの三枚目レギュラーキャラも、本作での出演はありません。
彼の相棒の吉高由里子演じる岸谷刑事も、ドラマでのハッチャケぶりは鳴りを潜め、
かなり落ちついたキャラクターになっています。
まぁ岸谷刑事に関しては、たぶん本作はドラマより早く撮影したはずなので、
この時点でまだキャラが確立されていなかっただけかもしれませんが…。

シーズン1及び『容疑者Xの献身』の相棒の女性刑事は、柴咲コウ演じる内海刑事でしたが、
シーズン2及び本作から、吉高由里子演じる岸谷刑事にバトンタッチしましたね。
原作での湯川准教授の相棒は、北村一輝が演じていた草薙刑事だったので、
それがドラマ版オリジナルキャラの内海刑事に改変された時も、
原作ファンから批判もあったそうですが、今回の相棒役の降板劇も、
シーズン1のファンから批判というか残念だという声が多かったみたいです。
ボクが内海刑事の相棒時代を知っているのは『容疑者Xの献身』の時だけなので、
降板劇自体には全くショックはありませんでしたが、
ドラマの岸谷刑事については、あまり好きになれないキャラクターで…。
でも本作の落ちついた感じの岸谷刑事に対しては、そんなに悪い印象はなかったです。
ドラマでもこのくらいのキャラクターで通していれば、それほど批判は受けなかったかも。
よほど岸谷刑事の評判が悪く、内海刑事の待望論が巻き起こったのか、
本作の公開1週間前に内海刑事のスピンオフ『ガリレオXX』が放送されましたね。
湯川准教授はほとんど登場しないようなので、ボクは見ませんでしたが、
柴咲コウもスピンオフには出演するくらいなら、降板なんてしなければいいのにね。
なんでも女優業への情熱が薄れてしまったそうだけど、
ハリウッド映画『47RONIN』のヒロインを経験したことで、
今更日本のドラマや映画に出演することがバカらしくなったのかな?

おっと、前置きが長くなりましたが、そろそろ本作の感想を。
東野圭吾の映画化作品は、好きなんだけど打率は低い気がしますが、
本作はそんな中でもかなり上出来な部類ではないかと思います。
正直、ドラマの『ガリレオ』は「これが今季最高?」と思う程度の出来で、
人気のある湯川准教授のキャラ先行で、ミステリーとしてもかなりお粗末。
本作もミステリーとしてはよく出来ているわけでもないし、
トリックも物理とはそれほど関係ないのはどうなのかと思いましたが、
ヒューマンドラマとして、なかなか面白い作品に仕上がっていたと思います。
キャラ人気だけに頼らない硬派な出来だったのではないでしょうか。

物語の舞台は、美しい海がある玻璃ヶ浦です。
この玻璃ヶ浦というのは架空の場所ですが、なんとなく薩摩半島かなと思いました。
海が東シナ海っぽいのと、そこに住むヒロインが鹿児島で多い名字だからですが、
どうやら伊豆半島で撮影されたみたいですね。
岸谷刑事が東京と玻璃ヶ浦を易々と往復していることからも、やはり伊豆がモデルかな。
玻璃ヶ浦の沖50km地点に、レアメタルが埋蔵されていることが判明し、
天然資源開発の話が持ち上がり、住民は推進派と反対派に分かれます。
本作のヒロイン、川畑成実は海を守る活動をしており、反対派の代表です。
湯川准教授は電磁探査のアドバイザーとして推進派に招かれ、玻璃ヶ浦に訪れました。

物語に環境問題が絡むと、開発に否定的な展開になりがちですが、
そうならないのが本作のいいところです。
推進派の依頼で訪れた湯川准教授ですが、彼は推進派でも反対派でもありません。
強引な推進派の答弁にダメ出しする一方で、聞く耳を持たない反対派にも苦言を呈します。
彼は「全てを知った上で選択するべきだ」と主張しており、
とりあえず資源の埋蔵状況を調査するための環境に優しい方法をアドバイスします。
ボクは米軍基地移設のためにサンゴ礁の海を埋め立てるようなことには反対ですが、
海底資源の開発については、もっと積極的にすべきだと思っています。
メタンハイドレートのエネルギー資源開発は今すぐにでもやるべきだし、
レアメタルが埋まってるなら、海に沈めておくなんて勿体ないです。
本作は別に資源開発を推進する展開でもないけど、とりあえず反対する内容でもなく、
この資源開発と環境保護の問題については結論を出しておらず、
問題提起だけして観客が各々考えられるようにしてあるのはよかったです。
もし資源開発に否定的な内容だったら、それだけで駄作と判断したかもしれません。

湯川准教授が取った宿は、反対派の代表である成美の両親の民宿「録岩荘」でした。
成美を演じるのは杏ですが、健康的に日焼けしていてとても魅力的です。
あまり好きな女優ではなかっただけど、これまで役に恵まれなかっただけかな?
その夜、海岸の岩場で頭から血を流して死んでいる男が発見されます。
その男は録岩荘の宿泊客で、元警視庁の刑事・塚原でした。
堤防からの転落事故かと思われましたが、死因は一酸化炭素中毒と判明し、
殺人事件の可能性が出たため、被害者が警察OBのため警視庁から岸谷刑事が派遣され、
湯川准教授もいつものように捜査に協力することになります。
捜査を進めるうちに、被害者と録岩荘経営者一家との間に意外な接点が浮上。
東京で十数年前に起こった元ホステス殺人事件と今回の事件と何か繋がりがあるようです。

ミステリー映画なので事件の真相についてあまりネタバレしたくはありませんが、
ちょっと偶然として面白いなと思ったことをひとつだけ。
ヒロインの成美と、彼女の父・重治は、実は血の繋がった親子ではなく、
その父子関係の事実がキッカケで今回の事件が起きるのですが、
福山雅治は次の映画『そして父になる』で、血の繋がらない父子の物語をしますよね。
彼が演じる湯川准教授が、他人の子と気付いていながら成美を育てていたことに対し、
「僕には想像も出来ませんが…」と言ったのがちょっと面白かったです。
次の映画では、まさに重治の立場になるわけですからね。

毎度のことながら、湯川准教授は積極的に警察に協力したいわけではありません。
いつもは物理学者として、物理的に不可能なトリックに関心が湧いて、
結果的に警察に協力することになるパターンが多いですが、
今回は単なる一酸化炭素中毒死と死体遺棄事件なので、物理的なトリックはありません。
(まぁ一酸化炭素中毒は科学的な殺害方法とも言えますが…。)
それでも彼が事件を捜査しようと思ったのは、その事件によって
「ある人物の人生がねじ曲げられようとしている」ことを心配したからです。
つまり他人のためですが、物理バカの彼が他人のために行動を起こすのも珍しいけど、
その人物が、彼が日頃から「非論理的だから嫌い」と公言している子供なんですよね。
湯川准教授と子供が楽しそうに交流しているだけでもレアで微笑ましい光景ですが、
子供が嫌いという設定だからこそ、その子との関係が如何に特別であるかが伝わり、
ラストの別れのシーンでのやり取りには感動してしまいました。
これはドラマでことある毎に「子供が嫌い」と言い続けたことで生まれたカタルシスで、
つまんないドラマだったけど見続けてよかったと思えた唯一の演出でした。

なかなかいい映画だったので、続編にも期待してしまいますが、
本作を製作するフジテレビだって、こんなドル箱シリーズは、
映画、ドラマ問わずにどんどんやりたいはずです。
しかし『踊る大捜査線』なんかと違って、本シリーズは東野圭吾の原作ありきなので、
原作が出版されないことには続編も作ることができません。
最新刊も昨年秋に出たばかりですが、そのエピソードすらシーズン2で使っているので、
ドラマのシーズン3を出来るのは、まだまだ先のことになりそうです。
大切にすべきシリーズなので、『海猿』の時みたいに勝手なことをして、
原作者から絶縁されることがないようにしてほしいものです。

東野圭吾原作の映画の感想
さまよう刃
白夜行
夜明けの街で
麒麟の翼
プラチナデータ

コメント

コドモ警察をお忘れです。

  • 2013/07/04(木) 17:13:59 |
  • URL |
  • くろ #-
  • [ 編集 ]

あ、テレビドラマの劇場版のことですよね。
そういえば『コドモ警察』も鑑賞しました…。
テレビ版は見てなかったし、劇場版も超駄作だったので、
完全に記憶から抹消してしまってました…。

『真夏の方程式』は今年鑑賞した2本目の劇場版でした。

  • 2013/07/04(木) 19:14:25 |
  • URL |
  • BLRPN #-
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