ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ハル

先日、北条司の漫画『エンジェル・ハート』の最新刊を買いました。
(説明不要でしょうが『シティ・ハンター』の外伝的続編です。)
ボクは同作の中でもキャッツアイ絡みのエピソードが大好きなのですが、
最新刊にも収録されていてとても満足、やっぱりファルコンはカッコいいですねー。

これはボクの持論ですが、男キャラは男性漫画家の方が、
女キャラは女性漫画家の方が、より魅力的に描けるのではないかと思います。
異性を描くとジェンダーに捉われたり、漫画家の理想像が大きく影響して、
現実味がなく、人間味に乏しいキャラになると思うんですよね。
ボクは少年漫画をよく読みますが、好きなキャラは多いけど、
好きな女キャラとなると、滅多に出会うことはありません。
(最近だと『ジョジョリオン』の広瀬康穂はかなり魅力的だと思う。)
ところがたまに少女漫画なんて読んでみると、魅力的な女の子がゴロゴロ出てきます。
(特にヒロインの親友のキャラが魅力的なことが多いです。)
その反面、少女漫画の男キャラ(二枚目)には反吐が出そうになりますけどね。

ということで、今日は人気少女漫画『アオハライド』の漫画家が、
キャラクター原案を務めたアニメ映画の感想です。

ハル
ハル

2013年6月8日公開。
人気漫画家・咲坂伊緒がキャラクター原案を担当したオリジナル中編アニメーション。

最愛の人、ハルを飛行機事故で失ったくるみ。ケンカしたままハルが帰らぬ人となり、くるみは生きる力をなくしていた。ヒト型ロボットのQ01(キューイチ)は、彼女のためにハルにそっくりのロボハルとなり、くるみと一緒に住むことにする。ロボハルが頼りにできるのは、かつて、くるみが願い事を書いたルービックキューブだった。(シネマトゥデイより)



今月8日に劇場公開が始まった本作ですが、ウチの地元では先週末やっと公開されました。
隣の県(大阪の難波)まで行けば、公開日にでも観れたのですが、
ちょっと遠いので地元での公開を待つことにしたんですよね。
遠出してでも早く観たい映画ってのもあるけど、本作はそれほどでもなかったし、
中編映画なので、移動時間の方が上映時間より長くなり、時間が勿体ないので。
予告編などで面白そうかなとは思っていたのですが、本作の最大のセールスポイントは、
『ストロボ・エッジ』や『アオハライド』などで人気の少女漫画家、
咲坂伊緒がキャラクター原案を担当したということだと思いましたが、
ボクは彼女の漫画は読んだことがなく、そこに価値を見出していなかったので、
そこまでどうしても観たいって映画でもなかったので…。
少女漫画家を起用するくらいだから、きっと女の子向けの作品なのだろうとも思ったし。

案の定、劇場は若い女の子ばかりで、カップルで男がチラホラいる感じでした。
でも全体的にお客さんは少ないため、男一人でも居心地の悪さはなかったのが救いです。
普通のアニメ映画は、若いアニメファンでそこそこ盛況になるものだけど、
キャラクター原案のイメージから、男のアニメファンに訴求できなかったみたいですね。
でも内容は、それほど客の性別を選ぶものでもなかったですね。
むしろアンドロイドもののSFなので、世界観的には男子向きかも。
脚本家はテレビドラマ『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』を手掛けた木皿泉で、
本作が初のアニメ作品の脚本となるのだそうだけど、アンドロイドものが得意なのかな?
テレビドラマをちゃんと見たわけではないのですが、『Q10』の「Q10(キュート)」と
本作の「Q01(キューイチ)」は、裏設定で何か繋がりがあるのかもしれません。
ルービックキューブが物語のキーになっているのも共通してますね。

正直、本作のファーストインプレッションはかなり悪かったです。
アンドロイドものSFとして、設定があまりに破綻していると思ったからです。
恋人ハルを飛行機事故で失い、ショックのあまり引き籠りになってしまったクルミ。
彼女の祖父は心配し、孫娘を立ち直らせるため、アンドロイドのキューイチを、
ハルそっくりに改造して、クルミの世話をさせることにします。
ロボット療法らしいですが、故人の偽物を送り込むなんて酷過ぎる仕打ちで、
逆効果としか思えないですよね。
やっぱりクルミもロボハルことキューイチを拒否します。
クルミはハルと一緒に暮らしていた頃に、ルービックキューブに願い事を書いており、
ロボハルはその願い事を叶えてあげることで、クルミを元気付けようと考えます。
願い事の内容はルービックキューブを解かないとわからないのですが、
ロボハルは人の手を借りてなんとか一面完成できる程度のパズル力しかないんですよね。
ボクでも簡単に完成できるのに、ロボットのくせにパズルも解けないとかあり得ません。
一面揃えると、そこに「ハルと料理する」と書いてあったので、
ロボハルはクルミのために料理を作るのですが、これがかなり下手くそで…。
仮にもケアセンターから派遣されたお手伝いロボなのに、家事もできないのかと…。
それどころか調べものなども普通にスマートフォンでやってるし、
人工知能とかロボ的な機能を全く使う素振りがなく、完全に人間そのものです。
ちょっと世間知らずなところが、ロボットぽいとも思ったけど、
それならロボじゃなく、クローンの設定にでもすればいいのにと違和感を覚えました。
仮にもアンドロイドものを多く手掛ける脚本家とは思えない出来の悪い設定です。

ところが終盤、その違和感を払拭する展開が待っていました。
なんとロボハルはキューイチではなく、本物のハル自身だったのです。
本当にただの人間だったので、ロボ的な機能を使えなくても当然でした。
実は飛行機事故で死んだのは、ハルではなくクルミの方で、
ハルはそのショックで、自分をロボットだと思い込んでしまったようです。
クルミの祖父は、そんなハルを気の毒に思い、キューイチをロボクルミに仕立て、
ロボクルミの世話をハルにさせることで立ち直らせようとしたのです。
うーん、まさかの大どんでん返しで、「やられた!」って感じでした。
普通こんなに設定に違和感があれば、何か裏があるんじゃないかと勘付くものですが、
ちょっとSF風味のチックフリック(女性向けロマンス映画)だと侮っていたので、
こんなSFスリラー的なギミックが仕掛けられていたとは予想だにせず、驚きました。
少女漫画的なキャラデザも、そのミスリードに大きく貢献しているかもしれませんね。

でもロボハルがロボっぽくない理由はそれで説明が付くものの、
なぜハルが自分をクルミの祖父のお手伝いロボであるキューイチだと思い込むのかとか、
クルミの祖父が、自分の孫娘が死んで悲しいはずなのに、
わざわざ孫娘の彼氏(素行に問題アリ)の世話を焼こうなんて考えたのかなど、
逆に腑に落ちなくなった点がいくつか出てきます。
まぁどんでん返しは、その特性上、展開に無理が生じるのは仕方がないので、
あまり細かくツッコむのも気の毒かと思いますが、もともと短めな中編映画だけに、
長編にしてもう少し設定の合理性を高めるシーンを描いてもよかった気もします。

特に世界観についてかなり説明不足なので、上映時間を延ばしてでも描くべきでした。
舞台となっているのは鴨川近辺で、風景はSFとは思えない京都の伝統的な街並みですが、
一方で児童に危険な不法労働をさせるディストピア的な設定もあります。
ところがそのディストピア設定は、ハルの過去のエピソードで触れられるだけで、
メインプロットの世界観には全く反映されず、いくらなんでも不自然すぎます。
京都の観光振興も兼ねているような印象を受けたので、
大人の事情でディストピアな世界観にはできなかったのでしょうが…。

あと、再びキャラデザの話に戻りますが、咲坂伊緒がデザインしたのは、
おそらくハルとクルミと、ハルの悪友リュウだけじゃないでしょうか?
他のキャラはたぶん作画監督の北田勝彦のデザインでしょう。
咲坂伊緒の少女漫画的で写実的な3キャラに比べ、他のキャラはかないアニメ的で、
メイン3キャラだけが少々浮いてしまっているように思いました。
ボクとしては後者のアニメっぽい方が好みではあるものの、
キャラクター原案を人気漫画家に外注する以上は、全キャラ依頼するのは無理でも、
原案の雰囲気に近いキャラを制作し、統一感を出すべきだと思います。
でも咲坂伊緒はキャラクター原案を依頼されるくらいだから、
画力に定評があるのでしょうが、一枚絵なら魅力的な絵なのかもしれないけど、
彼女のキャラをアニメーションさせたら、それほど魅力的には感じませんね。
特段悪いとも思わないけど、至って普通の少女漫画的なキャラで、
別に彼女に依頼するまでもなかった気がします。
まぁ彼女の名前で客が呼べるという判断だったのでしょうが…。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1060-880b88a8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad