ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ファインド・アウト

一週間ほど前、復興庁の参事官がツイッターで暴言を吐いたなんて報道がありましたね。
「左翼のクソども(市民団体)から、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席。」とか、
「某大臣の虚言癖に頭がクラクラ」とか、公人とは思えぬ何とも過激なつぶやきで…。
当然メディアや政治家からは叩かれるし、謝罪に追い込まれましたが、
彼の言いたいことはわかる気もするし、単なる暴言ではなく一種の内部告発では?
とりあえず虚言癖の某大臣を明らかにして、そいつの過去の虚言について検証すべきです。
どうせならツイッターなんかで発言せずに、もっとちゃんと批判していれば、
単なる暴言扱いされなかったかもしれないのにね。

ということで、今日は警察から虚言癖のレッテルを貼られた女性の物語の感想です。

ファインド・アウト
Gone.jpg

2013年6月15日日本公開。
アマンダ・セイフライドが主演のスリラー。

若く魅力的なジル(アマンダ・セイフライド)は、自分は1年前に何者かによって誘拐された揚げ句軟禁されていたと警察に訴える。だが、彼女の申し出を裏付けるような証拠は一つも出てこず、心の病を患っているジルの狂言ということで一件落着。しかしある朝、妹モリー(エミリー・ウィッカーシャム)が姿を消したことでジルは激しく取り乱す。(シネマトゥデイより)



全米初登場9位、映画批評家のレビューも散々となれば、
日本での劇場公開が見送られても仕方がないところですが、
全国のユネイテッドシネマを中心に、そこそこの規模で劇場公開された本作。
アマンダ・セイフライド主演だから、完全に『レ・ミゼラブル』効果でしょうね。
でも劇場(梅田ブルク7でしたが)もガラガラで、あまり効果はなかったようです。
本作は、実際そこまで悪い映画でもないんですが、なぜ不評なのかはわかる気がします。
簡単に言えば、オチが弱く、陳腐に感じるんですよね。
以下、ネタバレ注意です。

アマンダ・セイフライド演じるジルは、1年前の復活祭の夜、
自宅に忍び込んできた男に拉致され、森林公園のどこかに掘られた穴に監禁されます。
殺される前に何とか逃げ出した彼女は、警察に駆け込みますが、
森林公園の穴が発見できなかった警察は、誘拐は彼女の妄想だと断定し、
彼女は精神病院に入院させられてしまいます。
退院後、ジルは大学生の妹モリーと一緒に暮らし始めますが、
夜勤明けに家に帰ると、家にいるはずのモリーの姿がなく、
彼女はあの誘拐犯が自分と間違えてモリーを誘拐したに違いないと考え、
警察に届け出ますが、警察は「またジルの妄想だろう」と相手にしません。
このままでは今夜にも妹は殺されると、、ジルは拳銃を手に犯人捜しを始めますが、
精神病院入院歴のある者の拳銃の所持は禁止されているため、
彼女は警察から指名手配されることに…、という話です。

本作のポイントは妹の拉致およびジル自身の拉致経験が現実なのか妄想なのかです。
スリラーにおいて、精神病患者の記憶ほど当てにならないものはありません。
ジルの拉致された時の回想も、断片的でかなり曖昧に描かれており、
やっぱり警察の言うように妄想なのかもしれないと思います。
ジルは薬を服用してますが、途中で止めてしまったため、その疑いは強まります。
妹もアルコール依存症のようなので、2~3日姿を消しても不思議ではありません。
しかし、聞き込みによってわかった妹が拉致された時の状況には、
たしかに不可解な点も多く、物語が進むほど単なる妄想ではない可能性が強まります。
精神病が絡むサイコスリラーは、主人公の妄想オチか否かの2択が多いですが、
不思議なことに、どちらに転んでも観客は「やっぱりか」と思うんですよね。
特に映画を頻繁に観る人ほどその傾向は強いため、
この手の作品が批評家から高評価を得るのはとても難しいです。

妄想か現実か、どちらに転んでも予想通りのどんでん返しになってしまうわけだけど、
作品により、どちらに転んだ方がマシか(衝撃的か)というのは当然あります。
例えば現実だと思わせておいて妄想オチ、或いはその逆のパターンがそうで、
観客を逆のオチへと上手くミスリードさせる手法です。
ところが本作は、きっと現実だろうと思っていると本当に現実だったという、
なんとも驚きのない展開で、拍子抜けしてしまいます。
たぶん制作サイドとしては、可能性を50/50にしているつもりだと窺えます。
ジルの通院歴や、帰宅後に妹がいないだけですぐに誘拐だと騒ぎたてる様子など、
状況的には妄想の可能性が強く感じられる展開になっていますが、
彼女に対する警察の態度があんまりなので、そんな警察に対する反感から、
観客は「これは現実だろう、いや、現実であってほしい」と思ってしまうはずです。
なので観客に妄想オチのミスリードが通用しなくなり、
やっぱり現実オチだったことで、「やっぱり予想通りだ」となっちゃうんですね。

しかし、本作のテーマからすれば、その演出も至極当然のこと。
失踪か誘拐か、理由もわからず人が消える現象を「ミッシング・パーソン」といい、
アメリカでは毎年70万人もの人が消え、社会問題化しているのだそうです。
先達てもオハイオで、女性3人が10年間も監禁されていた事件が発覚し、
日本でも大きく報道されましたが、これもミッシング・パーソンの氷山の一角です。
かなり不幸な出来事ですが、これでもまだ不幸中の幸いなのかもしれず、
ほとんどのケースでは原因不明の失踪のまま片付けられていると思われます。
日本での年間失踪者数は8万人程度ですから、アメリカが如何に多いかがわかるけど、
こんなものはアメリカの警察の怠慢に他なりません。
本作はそこに着眼し、そんな警察を批判的に描いているのだと思います。
しかしその意図があるなら、社会派ドラマにでもすればいいのに、
中途半端にサイコスリラー化してしまったため、
警察への皮肉が物語の足を引っ張っちゃってるんですね。

もうひとつ、ジルの妄想ではないとわかってしまう展開は、
ジルは犯人捜しの聞き込みをする時に「私の妹が誘拐されて…」みたいなことは言わず、
何とも機転の利いた作り話で、聞き込み相手から情報を引き出すのですが、
その嘘が上手すぎて、そんな彼女が嘘臭い虚言(妄想)を言うとは思えないです。
もうちょっと彼女の精神病患者としての不安定さを演出してもよかったのかも。
彼女はクライマックスで犯人を殺してしまうのですが、
その前に犯人の動きを完全に封じているために、「警察に引き渡せばいい」とか、
「殺す必要なんてなかったのに」なんて感想をよく聞きました。
でも精神異常の彼女に道理は通用せず、警察に自分の正当性を認めさせたいのではなく、
犯人を殺して安心を得たいというのが彼女の本心なので、あの場面では殺して当然です。
ところがそこに至るまでの彼女を、あまりにまともに描いてしまっているため、
そんな妙な印象を観客に与えてしまうんだと思います。
おそらく彼女は、妹を助け出すことと同等かそれ以上に、犯人を殺したかったはずです。
妹を助け出すだけなら、誰だか見当もつかない犯人を捜すことより、
妹が監禁されているであろう森林公園の穴を捜す方が救出の可能性はあると思うしね。。

なんにせよ出来の悪いスリラーだったのは否めず、オススメはできません。

関連作の感想
レ・ミゼラブル

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1053-90a68576
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad