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ポゼッション

先週末の興行成績、『クロユリ団地』のV3は『オブリビオン』に阻まれましたが、
それでもまだ2位に留まっており、総観客動員数も50万人を超えたとか。
少なくともここ10年でJホラーが興行成績1位になるなんてことはなかったし、
洋邦問わずホラー映画が日本でヒットすること自体がなかったので、これは快挙です。
『クロユリ団地』は、ボクの嫌いな秋元康の企画なので、手放しには喜べませんが、
ホラー映画ファンとしては、ホラー映画復調の兆しが見えたのは歓迎です。
このヒットの要因は元AKB前田敦子の人気のお陰もあるでしょうが、
ホラーなのに怖くなくて、誰でも観に行けることも功を奏しているのかも。
ただホラー映画の人気低迷が長すぎて、日本人は怖さに免疫がなくなってきたのか、
最近のJホラーはあからさまに怖さをセーブしているのが見え見えで、
「ホラー映画としてそれでいいのか?」とも思ってしまいます。
まぁ『クロユリ団地』のような初心者向けの軽いホラー映画から徐々に慣らしていけば、
また客の免疫も付いて『呪怨』級のガチで怖いJホラーも公開できるようになるかな。

ということで、今日はホラー映画の感想です。
劇場がガラガラだったので、洋画ホラーの復調はまだまだ先なのかな?

ポゼッション
The Possession

2013年5月25日日本公開。
サム・ライミ製作、オーレ・ボールネダル監督によるホラー。

3か月前に妻と離婚したクライド(ジェフリー・ディーン・モーガン)は、週末に2人の娘と過ごすのを楽しみにしていた。だがある日、ガレージセールで古めかしい木箱を買ってからというものの、次女のエミリー(ナターシャ・カリス)の様子が一変してしまう。エミリーはまるで箱に取りつかれたようになり、徐々に異常な振る舞いがエスカレートしていくのだった。(シネマトゥデイより)



先月11日に日本公開だったホラー映画『フッテージ』が、
今週末にウチの地元でもやっと公開されるみたいです。
本作も先月25日に日本公開なのに、ウチの地元では今月1日公開…。
全米公開時から日本公開を楽しみに待っていたボクとしては、
一刻も早く観たいのに、地方の映画ファンの不遇が悔やまれます。
特にホラーというジャンルは、地方での公開が遅れることが多く…。
まぁ東京だけで公開なんてホラー映画もザラにあるので、
それに比べれば、数週遅れでも観に行けるだけマシなのかな。
でも本作のように全米1位を記録した映画くらいは、全国同時公開にしてほしいものです。
ちなみに本作は2週連続全米1位の大ヒット作でした。

そんな愚痴は置いといて、本作の感想に移ります。
本作は期待を裏切らない、面白いホラー映画だったと思います。
怖いかどうかで言えば、それほど怖いわけでもないです。
しかし恐怖シーンの演出がとても凝っており、とても興味深いです。
展開的にも、ホラーとしてはかなりベタですが、時折斬新な設定があり楽しめます。
たぶんある程度ホラー映画に慣れ親しんでいる人の方が、その趣向を味わえるかも。

両親が離婚し、母親に引き取られている姉妹ハンナとエミリーですが、
たまに父親クライドの新築の家に遊びに行きます。
ある日クライドは娘たちを連れて、近所のガレージセールに行きますが、
そこで妹エミリーが売り物の古い木箱を衝動買いします。
表面にヘブライ語が刻まれ、開け方もよくわからない箱です。
その日の真夜中、寝室でひとりで寝ていたエミリーですが、
ふと目が覚めて、箱を手に取ると、箱の蓋が開きます。
箱の中には蛾の死骸、誰かの歯、犬の木彫り人形、古い指輪が入っていました。
箱を開けた次の日の朝から、エミリーの様子がおかしくなり、
異常に箱に執着するようになり、夜な夜な箱に友達のように語りかけていたり、
挙句には食事中、父親の手の甲を無意識にフォークで刺したりと奇行を繰り返します。
後にわかるのですが、この箱は「ディブックの箱」というもので、
古代ユダヤ人が霊や悪魔を封じ込めるために使った儀式の道具です。
この箱自体は1920年代にポーランドで作られたものなので意外と新しいですね。
箱を開けてしまったエミリーは、箱に封じられていた悪魔に憑かれたわけです。

その悪魔の憑き方が本作の面白いところです。
ある時、エミリーは喉に指を突っ込んだ時のような嘔吐感を覚え、
鏡で咥内を確認すると、喉の奥から誰かの指が2本チラッと見えます。
指を突っ込まれていたのではなく、逆に中から突き出していたわけですが、
悪魔はエミリーの体内に、物理的に棲みついているのです。
後にMRIで彼女の体の断面を覗いてみると、そこにちゃんと悪魔が映っています。
悪魔が心とか頭の中に憑くのはよくあるけど、本当に体内に入り込んでるなんて、
なんだかちょっと斬新な憑き方じゃないですか?
悪魔が体内からエミリーの眼球を触ってグリグリ動かしたりするシーンも斬新でした。
エミリーが急に大食いになったり、夜中に冷蔵庫を漁って貪り食うのも、
体内で悪魔を養っているからでしょうが、なんだか子供なのに妊婦みたいで面白いです。

ただ、エミリーが子供というのが問題で、大概のハリウッドのホラー映画は、
幼い子供は死なない展開になるのがお約束です。
なので幼いエミリーが悪魔に憑かれて殺されそうだと言われても、
「どうせ死なないだろう」という意識が働いて緊張感を覚えないんですよね。
まぁ子供が死なないメソッドは絶対ではないのですが、本作ではやはり踏襲され…。
終盤で悪魔は急に父クライドの方に乗り移るのです。
大人なら死ぬ可能性も高まるので、それによりちょっと緊張感も増すのですが、
なぜ悪魔がわざわざクライドに鞍替えしたのかが理解できません。
エクソシスト曰く、悪魔は純粋な心の者を探しており、
その者のレイブン(生命)を奪うことを目的に取り憑くはずなのですが、
幼い少女であるエミリーよりも、中年男性クライドの方が心が純粋なはずはなく、
なぜエミリーを捨ててまでクライドに移るのか納得できません。
しかもエクソシスト曰く、悪魔の名は「アビズー」で「子殺し」と言う意味らしいし…。

そのエクソシストであるザディクですが、彼の設定もなかなか斬新です。
エクソシストと言えばキリスト教の牧師か神父が定番ですが、ザディクはラビです。
前述のように悪魔アビズーはユダヤ人の作った箱に閉じ込められていたので、
その悪魔を再び封じられるのはユダヤ教の指導者ラビだけなのです。
ユダヤ教のエクソシズムというのを初めて見たので、とても興味深かったです。
また、クライドが娘エミリーの悪魔祓いを依頼するため、
ユダヤ教ハシド派のショール(教会)を訪ねるのですが、そこの一番偉いラビは、
「悪魔祓いの儀式は危険だから嫌だ。神の意思に任せなさい。」と依頼を一蹴します。
聖職者らしからぬ腰抜けですが、もしかしたらエスニックジョークだったのかな?

若く正義感に溢れるラビのザディクは、その偉いラビの言いつけを無視して、
エミリーのエクソシズムに協力してくれるのですが、なんか雑な儀式でしたね。
病院で行うのですが、拘束を怠るから儀式中に暴れだした彼女を押さえられず、
霊安室なんかに逃げ込まれちゃうんですよ。
また儀式も悪魔の名前を呼んで箱に戻るように命じるだけですが、
悪魔の名前を聞き出すのが難しいかと思いきや、ちゃんと箱に書いてあるし…。
名前を呼ばれて口から這い出してきた悪魔アビズーは意外と小さくて、
その姿は『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムみたいでした。
エミリーは悪魔のことを「彼女」って呼んでたけど、あまり女っぽくないですね。
てか、アビズーにとっては箱は自分を封印する危険な道具なのに、
わざわざエミリーを箱に執着するように仕向けるなんて、間抜けな悪魔です。

他にも極端な潔癖症が仇となったエミリーたちの母親の設定や、
悪魔に前歯をバキバキに折られる母親の恋人など、
なかなか面白い展開がいろいろ用意されています。
エミリーの姉ハンナの方ももうちょっと活かせれば更によかったですが、
かなり楽しめるホラー映画だと思いました。

関連作の感想
死霊のはらわた

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