ブログデンティティー

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俺俺

前エントリーでも書いたように、先達てのアンジーの告白もビックリしましたが、
そのパートナーであるブラピの告白もビックリしました。
何でも彼は人の顔を覚えられない「失顔症」の可能性があるらしいです。
失顔症はミラジョ主演の『フェイシズ』でも題材になっていた病気ですね。
会ったことのある人でも、初対面だと感じてしまう厄介なものですが、
先天的に発症する確率は2%もあり、珍しい病気ではないそうな。
でも人の認識は顔だけで行っているわけではないので、
他の機能で補われ、本人が気付かないケースも多いのだそうです。
ボクも人の顔を覚えるのが超苦手なので、もしかしたらもしかするかも…。
この前も待ち合わせで、好きな子だったのになぜか顔が思い出せず、
こちらから見つけることができなかった時は本当に焦りました。
まぁ直視したら緊張しちゃうくらい好きだったので、
もともとちゃんと顔を覚えていなかっただけかもしれませんが…。

ということで、今日は登場人物が顔で見分けられない映画の感想です。

俺俺
俺俺

2013年5月25日公開。
星野智幸の同名小説を「KAT-TUN」の亀梨和也主演で映画化

家電量販店で働く均(亀梨和也)は、何の変哲もない郊外の街で平穏に暮らしている。彼の悩みは、実家の団地に顔を出した際に母親に文句を言われたり、職場で上司のタジマ(加瀬亮)にいびられたりすることぐらいだった。平凡な日々に飽き飽きとしていたある日、ひょんなことでオレオレ詐欺を行った均の前にもう一人の自分が現われ……。(シネマトゥデイより)



上映中、首を傾げすぎて首筋が筋肉痛になるほど、ずっと「???」な映画でした。
不条理すぎて全くついて行けず、どんな映画だったのか感想を書くのも困難で…。
設定とかオチとか、誰かわかりやすく解説してほしいです。

主人公の永野均は、飲食店で隣に座った男ダイキのケータイを盗み、
それを使ってダイキの母親からオレオレ詐偽で90万円騙し取ってしまいます。
するとなぜか永野均が増殖をはじめ…、という話。
永野均がダイキになり済ましたことで、永野均が本当にダイキになってしまった、
…いや、ダイキが永野均になってしまったというのはまだわかるけど、
なぜか全く関係のない人もどんどん永野均化していくんですよね。
その因果関係もよくわからず、不条理で意味不明でした。
終盤できっと何か種明かしがあるのだろうと期待していましたがそれもなく、
いろんな謎をほったらかしのまま、全くワケのわからない決着で幕を閉じます。
意味がわからない映画は数あれど、だいたいアート系の小規模作品なので、
ジャニーズ主演で大規模公開される娯楽映画がこんなに意味不明なのは驚きです。
特にそのつもりで観に行ってないから、そのギャップに困惑します。

ちょっと余談だけど、永野均が増殖し始める発端はオレオレ詐偽ですが、
「オレオレ詐偽」なんて言葉は久しぶりに聞いたし、
今は「オレオレ詐偽」ではなく「振り込め詐欺」が正しい。
…と思いきや、本作の公開2週間前に名称の再変更が実施され、
「オレオレ詐偽」「振り込め詐欺」「母さん助けて詐偽」の
3名称の併用することに決まったみたいですね。
ちょっとタイムリーでした。余談おわり。

意味不明な作品ですが、原作は大江健三郎賞も受賞していることから、
本当に全く意味のない作品ではないように思われます。
ボクもわからなかったなりに解釈してみると、
たぶんこれはアイデンティティを主題にした内容なのでしょう。
増殖を始めた永野均たちは、溜まり場「俺山」を作り友好な関係になります。
全員本人なので、趣味も好みも一緒なので本当に気の置けない間柄です。
ボクも周りにあまり話が合う人がいないので、自分に似たタイプの人がいて、
一緒に遊んでくれたら楽しいだろうと思うことがありますが、
それが本当に自分なのだから、その願望の究極の形ですよね。
しかし本当に自分と同一人物と暮らすことになったらと考えると、
自分の嫌なところとも付き合うことになり、楽しいばかりではありません。
ボク自身、優柔不断なところや自尊心が強く卑屈なところとか、自己嫌悪の塊なので、
自分自身で自分とはあんまり友達になりたくないと思うことも…。
本作でも初めこそ友好的に楽しく過ごしていた永野均たちですが、人数が増えた時、
その自分たちの中に「許せない自分がいる」と考える永野均が現れます。
そこから物語は急展開し、永野均同士の殺し合いに発展するのです。

大嫌いな上司が永野均化して自分になってしまったりするのも、
自分ではこんな最低な奴とは全然違うと思っていても、
客観的にみたらそれほど大差ない、むしろ共通項ばかりかもしれないというような、
アイデンティティが瓦解することで顕在化する、人間関係の本質を描いているのかも。
あ、自分でも何を書いているのかわからなくなってきました。
要するに他人と自分を識別しているものは立場でしかないってことで、
永野均はオレオレ詐欺で他人(ダイキ)の立場に成り済ましたことにより、
アイデンティティの瓦解が生じて、他人がどんどん自分になっていったってことかな。
増殖する永野均は顔は永野均なのに立場は元の人物のものを引き継いでおり、
みんな髪型や服装、趣味や性格までも全く別人のようですが、
それは中身は同じ永野均でも立場によって別人のようになるということなのでしょう。
そのボクの解釈が正しいとは思っていませんが、どんな解釈が正しいとしても、
主題が伝わり難いのは間違いなく、映像化に失敗しているのではないかと思います。

映像化の失敗としてわかりやすい例では、主演に亀梨和也を選んだことでしょう。
彼はイケメンではあるものの、顔が整いすぎていて個性がありません。
なので髪型や服装を変えて演じるだけで、本当に別人に見えてしまうのです。
逆に彼が演じているのか、他の俳優が演じているのかも見分けにくいです。
特にテレビドラマをほとんど見ないボクは、本作が初亀梨和也だったので、
彼に対するイメージもなく、より見分けが付きにくいです。
これでは永野均と同じ顔の人物が増殖していくという面白さもあまり伝わりません。
もし顔にもっと個性のある俳優が永野均を演じていれば、
それだけで画的に面白さを出すことが出来たように思います。

ただ映像化に頑張っていると思うところもあります。
永野均は増殖するので、計33人(34人?)もの登場人物を亀梨和也が演じており、
同じシーンに何人もの亀梨和也が映るところも多く、当然合成で再現しているのですが、
それがまるで双子や三つ子を使っているかのように、とても自然に仕上がっています。
通常1人2役の共演シーンなんかだと『GANTZ』みたいにカット割りで誤魔化すのに、
そんな逃げを使わなかったことにも感心しました。
ただ、体型が違いすぎる一部のキャラは、首だけをすげ替えて再現されますが、
その出来はイマイチでちょっと気持ち悪いです。
特に永野均化した女性キャラの不気味さは…。

女性キャラと言えば、内田有紀演じるヒロインのサヤカは謎すぎるでしょ。
永野均にある一戸建て物件の写真を撮らせてそのお礼に十数万渡すなど、
なんだかヤバそうな仕事をしているみたいですが、その詳細も不明のまま…。
ヤバい仕事で、けっこう金持ちそうなのにデジカメを万引きしようとするしね。
それに彼女だけ主人公の永野均を他の永野均と見分けることが出来ますが、
その理由も明らかにされません。
彼女はこの増殖問題のキーマンかもしれないと思ったのですが、
結局彼女自身もあっけなく永野均化して殺されてしまい、
彼女の謎はそのまま全て葬り去られてしまいます。
そういえば、警察も永野均の増殖は把握しているようで、
何か国家的な陰謀なのかとも思いましたが、そのあたりも全く明らかにならず…。
オチもオレオレ詐欺で騙し取ったお金を返したことで増殖が止まったのか、
それとも永野均化したダイキを殺したことで増殖が止まったのか不明瞭です。
それに展開的には、主人公の永野均の方が永野均化したダイキだと思うのですが、
結局オリジナルが誰なのかもわかりませんでした。
というか、本作って夢オチみたいなものだったのかも?

原作小説はともかく、三木聡監督の本作はナンセンス・コメディだと思うので、
もしかすると本当に不条理なだけで、物語に全く意味のない作品かもしれません。
ただ本作をコメディだとすると、ネタやギャグの寒さが半端なく、
序盤から必死で笑いを取りにきているのは窺えますが、悉く滑り倒します。
けっこうな客入りにも拘らず劇場内で笑い声は一切なく、なんとも寒々しかったです。
まぁお客さんもみんな「???」状態だったと思うので、
理解するのに必死で笑うだけの心のゆとりがなかったのかも…?

亀梨和也のファン、または三木聡監督に理解がある人以外は観る価値のない作品です。

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