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中学生円山

NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、めちゃめちゃ面白いです。
放送時間はすでに仕事中なので、1週間分録画して土曜の夜に見てますが、
土曜日が待ちきれないと思うほどはまっています。
これほどテレビドラマに夢中になるのは実に9年ぶりです。

ボクはテレビドラマをあまり見る方でもないので、朝ドラを見るのも初めて。
なぜ急に見始めたかと言えば、やっぱりクドカンが脚本だったからです。
映画でもテレビドラマでも、脚本家で選ぶことはあまりないのですが、
クドカンと三谷幸喜だけはちょっと気になってしまいます。
朝ドラは脚本家の起用に力を入れてるみたいで、
前作は『家政婦のミタ』、次回作は『JIN-仁-』の脚本家を起用していますね。
それにしても、クドカンの起用は、まさかな大抜擢でした。
まぁ『あまちゃん』がクドカンらしい作品かと言えば、そうでもない気もするけど、
面白いことに変わりはないし、ヒロインもかわいいので楽しいです。

といことで、今日はクドカンらしい映画の感想です。

中学生円山
中学生円山

2013年5月18日公開。
宮藤官九郎がメガホンを取ったコメディ。

思春期を迎えた中学生・円山克也(平岡拓真)は、ある目的のために柔軟な体が必要だと判断し自主トレに励むうちに、妄想の世界にトリップするようになってしまう。そんなある日、同じ団地に謎めいたシングルファーザーの下井辰夫(草なぎ剛)が引っ越してくる。ある日、近所で殺人事件が起こり、克也は下井が犯人ではないかと妄想し始め……。(シネマトゥデイより)



本作はクドカンの4年ぶり、3本目の監督作です。
その寡作のせいか、映画一本にやりたいことを詰め込みすぎな気がします。
メインエピソードは面白いのに、個性の強すぎるサブエピソードが邪魔している気が…。
本作のメインエピソードは妄想する中学生と謎のシングルファーザーの話です。
サブエピソードは韓流ドラマに嵌る母親と元韓流スターの電気屋の不倫話と、
小5の妹と近所の徘徊老人のロマンス(?)になるのですが、
メイン1本とサブ2本の3本のエピソードはほぼ完全に独立しており、
ほとんど交差することもなければ、収束することもありません。
言わば群像劇、いや、オムニバス状態になっているのですが、
独立した話を交互に進行させることで煩雑な印象を受けるし、
サブ2本を無理に詰め込むことで、メインが薄くなっている気がします。
ボクとしてはもっとメインを掘り下げて描いてほしかったです。
むしろサブの方からしても、もう少し掘り下げたら面白くなりそうなのに、
他のエピソードに時間を取られて描き切れておらず、
結局全てのエピソードが中途半端になってしまっている気がします。
まぁその煩雑で混沌とした感じも、クドカンらしいとも言えるのですが…。

まずメインエピソードですが、主人公の円山は妄想癖の強い中二の男子です。
彼は「おチンチンを舐めたい」と思い立ち、自主トレと称して柔軟運動に勤しみます。
そんなある日、自主トレ中に関節が鳴ると妄想の世界にトリップしてしまうように…。
妄想の世界にトリップすると、エロい女の子に迫られたり、
自分や家族がヒーローになったりと、彼の願望が実現します。
んー…、なんというか、一種の中二病ってやつですね。
それにしても「おチンチンを舐めたい」なんて、ちょっと設定が露骨すぎます。
言ってしまえば中学生のセルフオーラルセックスですから、
場合によってはR指定でも仕方がない表現です。
アバンタイトルのカーセックス→ヌーブラ大乱舞も、画的にちょっと刺激的すぎて、
ハリウッドのR指定コメディ並の下世話なコメディ映画が始まるのかと思いましたよ。
日曜日に観たのですが、劇場には家族連れのお客さんもそこそこいて、
ボクの横の席もそうだったのですが、妙に気まずい雰囲気になってました。
セルフオーラルセックスを題材にするなら、せめてPG指定にはするべきです。
クドカンの監督一作目『真夜中の弥次さん喜多さん』も下ネタ満載のゲイ映画だったので、
ボクは覚悟していましたが、朝ドラ『あまちゃん』効果で観に来た人なんて、
あまりの作風の違いに、度肝を抜かれたんじゃないですかね?
まぁ本作の下ネタのピークはアバンタイトルだったので、
その後はちょいエロいくらいの青春映画にシフトしましたが…。

ある日、団地の上の階に幼い息子を連れたシングルファーザー下井が引っ越して来ます。
下井は優しそうな男ですが、なぜか自主トレの秘密を知っており、円山は彼を警戒します。
そんな折、団地のゴミ捨て場で人間の耳が落ちているのを近所の住人が見つけ、
近くの河原で韓国人窃盗団のリーダーの死体が発見されます。
円山は下井が犯人ではないかと妄想し、下井を殺し屋「子連れ狼」だと吹聴します。
「子連れ狼」って、面白いけど中学生の妄想とは思えない古臭い妄想ですね。
しかし理由もなく犯人扱いしたことに罪悪感を覚えた円山が下井に謝りに行くと、
下井はその妄想に興味を持ち、2人は一緒に妄想を膨らます仲になり、
団地の人々を「処刑人プルコギ」「認知症のデスペラード」「Missセキュリティ」など、
子連れ狼を狙う刺客という設定にして妄想を繰り広げます。
円山の家族は、父「9時5時戦士キャプテンフルーツ」、母「マママンゴー」、
妹「イチゴベリー」、そして自分は「中学生円山」という正義のヒーローの設定です。
やっぱり中学生とは思えないネーミングセンスですが、
なんだかツボで、この辺りの展開はとても楽しいものでした。

しかしその楽しい時間は長くは続かず、ちょっとシリアスな展開になります。
団地の近くで迷惑駐車していた暴力団員たちが何者かに襲われ、
その容疑者として下井が浮上したのです。
円山の妄想のはずが本当に下井は犯人だったわけです。
下井は元警察官でしたが、妻を中学生に殺された過去があり、
その後彼は人知れず社会のルールを守らない者に制裁を加えていたのです。
暴力団の復讐から下井を助けるべく、円山は正義のヒーロー「中学生円山」となり、
暴力団員に戦いを挑むことになるが…、というのがメインエピソードです。
下井は殺人犯ですが殺すのは猥褻事件の犯人や韓国人窃盗団など犯罪者だけなので、
義賊である彼の行為はある意味正義だと思います。
そんな彼を襲った顛末はやっぱりちょっと悲しかったです。
特に彼の幼い息子ダイゴロ…、じゃなくてダイキチくんが可哀想で…。
円山も「中学生円山」になるためにセルフオーラルセックスを成功させますが、
「妄想が現実を越えて真実になる」ためには必要な儀式だったらしいけど、
その必然性が全くわかりませんでした。
また、前屈しかしてない彼が、戦闘中にあんなに身体が柔らかいのも謎で、
あんな体操選手みたいな身体なら、もっと簡単に舐めるのも成功していたはず。
攻撃の回避と名乗りだけで、全然攻撃しない戦い方は面白かったけど…。
シリアスな展開になってからは、ちょっとガタガタだった気がします。
まぁ終盤急に崩れるというのもクドカン脚本の特徴です。
特に長編ほど崩れやすく、彼の力が発揮されるのはせいぜい一時間の作品までです。

そのメインエピソードの随所にサブエピソードが挟まれるのですが、
サブエピソードの感想も少しだけ書きます。
まず円山の母親と元韓流スターの電気屋の不倫の話ですが、
ボクは嫌韓なので、日本映画に韓国人俳優を起用するのは反対で、
はじめは電気屋パクをヤン・イクチュンが演じているのも抵抗を感じました。
しかしこのエピソードは韓流を揶揄しているというか、
韓流ドラマ「愛をしてチャンジャ」とか、妄想の刺客「処刑人プルコギ」とか、
韓国を完全に小バカにしており、ちょっと愉快でした。
そもそも本作自体、下井に殺された窃盗団のリーダーをわざわざ韓国人の設定にしたり、
韓国に対する悪意が感じられる作品です。
こうなると、むしろこんな作品に出演してしまったヤン・イクチュンが、
母国でバッシングを受けはしないかと心配になるくらいです。
(『GOEMON』のチェ・ホンマンのように。)
パク曰く、韓国人は「日本で人気が出ると叩かれる」ような狭量な民族ですからね。

もうひとつのサブエピソードは、円山の妹と近所の老人のロマンスです。
小学5年生の女の子と痴呆症の老人という半世紀くらい歳の差がありそうなカップルで、
そう書いてしまうとなんだか生理的に不快感も覚えますが、
まぁ当たり前だけどプラトニックな関係なので、意外と爽やかかな。
痴呆症の徘徊老人、井上のおじいちゃんを演じるのはエノケンこと遠藤賢司。
クドカンがエノケンの大ファンらしく起用したみたいですが、
彼はミュージシャンなので、当然のように演奏シーンが用意されています。
しかしその楽曲がボクの大嫌いなパンクで、その演奏シーンはあり得ない爆音で、
全然歌詞も聴き取れないただ煩いだけの曲を何分も演奏されるのはかなり苦痛でした。
クドカンがパンクが好きなのはわかるけど、趣味を観客にまで押し付けるのはどうかな?
パンクネタは前作『少年メリケンサック』でやったんだから、もういいだろと…。

そんなこんなで、本作より『あまちゃん』の方が面白いですし、
せっかく『あまちゃん』で評価が急上昇してるのに、
こんなベクトルの全く違う作品だと、また評価に影響を与えるかもね。
まぁ監督作でもある本作が本来のクドカンの作風だし、それはわかっていたことなので、
ボクのクドカンに対する評価は上がりも下がりもしませんが。

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