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クロユリ団地

先週土曜日のお昼に開催され、生放送されたお笑いコンテスト
『歌ネタ王決定戦2013』の録画をさっき見ました。
大阪発のお笑いコンテストだし、審査員も偏っているため、
吉本有利、上方有利な結果になるとは思っていましたが、
予想通り、吉本新喜劇発のユニット「すち子&真也」が優勝しました。
さすがにメイン司会者である(吉本新喜劇座長)小籔千豊の直属の後輩の優勝は、
否が応でもデキレースに見えてしまいます。
出場者の中ではネタは面白い方だと思ったし、普通に優勝してもおかしくなかいだけに、
どうにも身内贔屓に見えてしまうのは残念です。

それにしても出場組で最下位だった「キンタロー。」のネタは酷かったです。
AKB(前田敦子)ネタを封印しての出場でしたが、彼女の地力の低さが露見しました。
このコンテストは関西と中部でしか放送されてませんが、
もし関東や全国放送だったら彼女の芸人としての命脈も絶たれていたでしょう。

ということで、今日はキンタ…、じゃなくて前田敦子の主演映画の感想です。

クロユリ団地
クロユリ団地

2013年5月20日公開。
中田秀夫監督が、前田敦子と成宮寛貴の主演でホラー。

老朽化したクロユリ団地へと移り住んできた明日香(前田敦子)は、隣室から聞こえる何かを引っかくような音にへきえきしていた。ある日、鳴りやまない目覚まし時計の音を発端に、隣室で亡くなっている老人を見つけてしまう。それを機に周囲で頻発する怪現象に対する恐怖、老人を救えなかったという罪悪感から、精神的疲労を募らせていく明日香。老人が何かを伝えようとして音を立てていたのではないかと思った彼女は、遺品整理で隣室を訪れる特殊清掃員・笹原(成宮寛貴)とその真意を探ろうとするが。(シネマトゥデイより)



ボクはJホラーが好きですが、人気低迷により公開本数がかなり減りました。
昨年も地味に数本公開されただけで、Jホラーを観るのはかなり久しぶりです。
それに本作はJホラーの第一人者である『リング』の中田秀夫監督ということで、
かなり期待して観に行きました。
とはいえ懸念もあり、それは迷プロデューサー秋元康の企画だということです。
『着信アリ』や『伝染歌』など、彼の関わるホラー映画はイマイチです。
秋元康企画の最大の弊害は身内起用で、本作だとヒロイン役の前田敦子です。
明らかに秋元康の口添えで捻じ込まれた配役でなんだか不愉快だし、
前田敦子のためのプロモーション映画になるのではないかとの懸念を感じました。
ボクは『もしドラ』くらいしか知りませんが、彼女が大根女優なのは有名だし…。

そんな期待半分、懸念半分で観に行ったのですが、正直微妙な作品でした。
ただ観る前に最も懸念していた前田敦子の演技はそれほど悪くなかったかな。
いや、むしろ後半にかけてはかなりよかったように思います。
徐々に気が狂ってくる感じが、とても自然に演じられていたように思います。
彼女は映画が好きで、一日一本観ると何かのインタビューで言ってましたが、
その勉強熱心さが徐々に報われてきているのかもしれません。
さっさと秋元康から離れて、本格的に演技の勉強をするべきです。

共演の成宮寛貴も悪くなく、キャスト的には問題のない作品でしたが、
なぜ微妙になってしまったかといえば、展開が読み易すぎることでしょう。
本作は主にふたつのどんでん返しが用意された物語なのですが、
どんでん返しなのに、誰でもすぐに読めてしまうのです。
むしろ読み易すぎて「そんな安直な展開にはならないだろう」と思ったら、
本当に予想通りの展開になってしまうことに驚いてしまうくらいです。

両親と弟の4人で黒百合団地に引っ越して来た明日香(前田敦子)。
お隣には老人が住んでいるようですが、引っ越しの挨拶に行っても顔も出しません。
引っ越し当日の夜、その老人が住む隣の部屋から「ゴリゴリゴリ…」と不気味な音が…。
彼女はその音が気になり、なかなか寝付けませんが無視します。
ある日、目覚まし時計が鳴り続いているのを不審に思った彼女が隣室を訪ねると、
老人が壁を引っ掻きながら死んでいるのを発見してしまいます。
警察の調べでは、老人は彼女が越してきた夜に心臓発作で死んだようです。
彼女はその夜の「ゴリゴリゴリ…」という壁を引っ掻く音を無視しなければ、
老人の死は防げたかもしれないという自責の念にかられます。
その後、たびたび老人の霊が彼女の前に現れ「おまえ、死ぬぞ」と言われ、
彼女は知り合いの遺品整理業者(成宮寛貴)の伝手で、霊媒師に除霊を頼むのですが…。

隣人がなんだか得体のしれない人物ってのも怖いし、
自分のベットの横の壁の反対側で、その壁にもたれかかって人が死んでおり、
それに気付かず寝ていたという状況も、現実味があってかなり怖いです。
近所付き合いが希薄になった昨今、老人の孤独死も社会問題になっているし、
隣の住民が死んでいても気付かないなんてことは珍しくなく、
死後何日も経過した孤独死の現場に遭遇するのも起こりえることです。
(ボクの知人にも現場に遭遇した人がひとりいます。)
それを題材にした本作は興味深いし、いい意味で不快感を覚えるホラーです。
発見が遅れたことで死んでしまった孤独死の老人が、第一発見者を逆恨みし、
悪霊となって取り憑くという展開も、斬新で面白いです。
しかし、それはミスリードのための表向きの展開でしかなく、
実は彼女に取り憑く悪霊はもっと別のものなのです。

明日香を診た霊媒師曰く、老人の霊は遺体を発見してくれた彼女に感謝しており、
別の悪霊に憑かれている彼女に「おまえ、死ぬぞ」と警告してくれているとのこと。
その悪霊は、何年も前にこの団地で事故死した5歳の男の子ミノルの霊で、
彼女は数日前に、霊とは知らずにその子と友達になっていました。
老人が悪霊だと思ったら、実は普通の男の子が悪霊だった。
それが本作のどんでん返しだったわけですが、その展開はすぐ読めます。
本作の内容だけでは読めなかったかもしれませんが、
本作のポスター(上の画像)や予告編を見れば、男の子が悪霊なのは一目瞭然です。
初登場時から、明日香は気付かなくても、観客はその子が悪霊だと容易に想像できます。
せっかくのどんでん返しも台無しになる宣伝方法です。
それに孤独死した老人の悪霊なら斬新ですが、子どもの悪霊なんてのは、
『呪怨』のトシオを筆頭に描き付くされていて、在り来たりなホラーになります。
この男の子は怪しいとは思いながらも、その宣伝がミスリードなのかもと思ってましたが、
霊媒師により男の子が悪霊だと明言されてからは、急激に退屈な物語になりました。

その前に、もうひとつどんでん返しが仕組まれています。
実は、4人家族だと思われていた明日香は、ひとり暮らしであり、
両親や弟は彼女の幻覚であり、本当は何年も前にすでに死んでいたのです。
このサイコスリラー的などんでん返しは、予告編などの宣伝ではわからないものですが、
伏線と言うか、ヒントが露骨すぎて、やっぱりすぐに読めてしまいます。
たとえば序盤の家族4人で過ごすシーンでも、明日香だけは常にワンショットで、
他の家族と一緒に映るシーンがありません。
「あれ?前田敦子だけ別撮りしたのか?」と思ってしまうような不自然なカット割で、
「これはなにかある」と思わずにはいられません。
演出的には面白い方法だと思うけど、ちょっと露骨すぎましたね。
まぁそれでは、ただカット割が下手なだけとも思えるので気付かない人もいるでしょうが、
家族の登場するシーンは彼らのセリフなど全てが伏線になっており、
もはやどんでん返しを隠す気もないのではないかと思えるほどヒントだらけです。
これではどんなに鈍い人でも「この家族、普通じゃない」と思うはずです。
中田監督ともあろう人が、伏線はもっとさり気なく張れないものかな?

読み易すぎるのでストーリーには全く面白味が感じられない本作ですが、
ホラー映画に求められるものは、何よりも恐怖ですよね。
その点、本作は恐怖シーンが少なすぎます。
Jホラーというのはオムニバス的な演出がひとつの特徴で、
主人公の周りで次々と人を殺すことで、コンスタントに恐怖シーンを挟み、
観客を飽きさせないようにしているのだと思われますが、
本作は明日香のほぼ出突っ張りで物語が進行し、
作中で悪霊から呪い殺されるのもクライマックスで2人死ぬだけです。
ホラーらしい恐怖シーンは中盤とクライマックスの2回しかなく物足りません。
なんでも次々と人が死ぬオムニバス的要素は、本作から切り離して、
スピンオフのテレビドラマ『クロユリ団地~序章~』にしてしまったようです。
ボクは見なかったのでよく知りませんが、本作の前日譚らしく、
明日香が引っ越してくる前の団地の悪霊による怪現象を描いた連ドラらしいです。
もしかしたらそのドラマですでに男の子の正体もネタバレしてるのかな?

恐怖シーンは数が少ないだけではなく、怖さの度合いも低いです。
悪霊とはいえ小さい子どもなので、貞子みたいな女の霊よりも怖くなり難いですが、
本作は明らかに怖さをセーブして撮られているように思えます。
あまり脅かすような演出はしてないし、グロい描写も全くないです。
たぶん低年齢層や怖がりな人でも観られるようにという配慮でしょうね。
これは本作に限ったことではなく、最近のJホラーの傾向なのですが、
ホラーだけど怖すぎると客が入らないというジレンマがあるみたいですね。
『リング』や『呪怨』のようなガッチガチに怖いJホラーが観たいです。

本作は少々期待ハズレな出来でしたが、今年はもう一本、大型Jホラーが公開されます。
8月30日公開になる『リング』シリーズ最新作『貞子3D2』です。
他にも6月14日公開の『絶叫学級』はそこそこ面白そうかな。
でも最も期待しているのは白石晃士監督のモキュメンタリーホラー『カルト』です。
公開が延び延びになっているので、ちゃんと公開されるかまだ不安ですが…。

関連作
CHATROOM/チャットルーム
貞子3D

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