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ザ・ワーズ 盗まれた人生

かねてから気になっていったアンジェリーナ・ジョリーの初監督作品『最愛の大地』が、
今年8月に公開されることが決定したようで、ほっとしました。
この映画には盗作疑惑なんかがあって、公開が危ういかもと思っていたので…。
裁判にまでなったものの、盗作と主張した小説家の訴えは棄却されたみたいで、
よくある売名的な言いがかりだったのかなと思っています。
そもそも物語の類型なんてそう多くあるわけでもないので、
「似てない作品がない作品なんてない」と思うんですよね。
この盗作裁判については、アンジーの映画もまだ観てないし、
盗作だと訴えを起こした小説も読んでないので、実際はなんとも言えないのですが、
裁判長曰く「著作権が侵害されたほどの類似性は見受けられない」らしいので、
きっと題材が被っていた程度の類似性だったのでしょう。
何にしても、話題のアンジー初監督作品が観れるのはよかったです。
正直、出来にはあまり期待していないのですが…。

ということで、今日は盗作をしてしまった小説家の物語の感想です。

ザ・ワーズ 盗まれた人生
The Words

2013年3月9日日本公開。
ブラッドリー・クーパー主演のサスペンスフルドラマ。

自分の才能を信じてくれている妻ドラ(ゾーイ・サルダナ)に支えられながら奮闘しているものの、作家としての成功をつかめずにいるロリー(ブラッドリー・クーパー)。新婚旅行に出掛けた彼は、ふと立ち寄ったアンティークショップで一束の原稿が収められたアタッシェケースを発見。その原稿の魅力あふれる内容や文章に感嘆し、許されないことだとわかっていながらも自分が執筆した小説として発表するロリー。出版されるやベストセラーを記録して華々しい生活を謳歌(おうか)するが、そこへあの原稿を書いたという男が訪ねてくる。(シネマトゥデイより)



全米初登場4位とまずまずの成績だった本作。
『世界にひとつのプレイブック』でも主演を務め、オスカー候補になるなど、
大ブレイク中の俳優、ブラッドリー・クーパーの主演作ということで、
ボクも期待して日本公開を待っており、3月9日が日本公開日になったのですが、
信じられないことに関西では公開されず…。
というか、全国でヒューマントラストシネマ渋谷だけの単館上映となったみたいで…。
これはもう劇場鑑賞は諦め、DVDリリースを待つしかありませんでした。
どうせ半年もすればリリースされるとタカを括っていたのですが、
先日レンタルビデオ店に行くと、もう店頭に並んでいてビックリ。
まだ公開から2ヶ月も経ってないのにやけに早いな、と思っていたら、
その時点ですでにリリースから1カ月ほど経っていたとわかり更にビックリです。
どうやら3月9日日本公開で、4月10日にはDVDリリースしてしまったようなので、
最近多くなった「DVDリリース前のお試し劇場公開」だったみたいですね。
やっぱりビデオスルーよりも、劇場公開作を謳える作品の方がDVDが売れるのかな?
お試し劇場公開なんて、劇場派映画ファンをバカにしているとしか思えないので、
ボクはあまり感心しない広報手段だと思いますが。

というか、こんなに面白い作品を全国公開しない手はないのに…。
まぁ映画評論家連中の批評はあまり芳しくなかったみたいですが、
今のクーパーなら日本でもかなり客が呼べる気がするんですけどね。
今月末には『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』が、
来月末には『ハングオーバー!!! 最後の反省会』と、
出演作が立て続けに日本公開される、大注目俳優の主演作なのにね。
ボクも大好きな俳優の一人なのですが、『世界にひとつのプレイブック』の余韻が強く、
本作をちょっと甘めに評価しちゃってるかもしれません。
とはいえ劇場公開時やDVDリリース時に比べれば、随分クールダウンしているはずですが。

クーパー演じる小説家志望の青年ローリーは、小説を書いては出版社に持ち込みますが、
なかなか出版には至らず、惨めな生活を送っています。
そんな中、新妻ドラとパリに新婚旅行へ行った際、骨董屋で古いカバンを見つけ、
なんとなく購入するのですが、帰宅後カバンの中をよく調べると、
著者不明の小説の古い原稿が入っており…。
その小説を読んだローリーは、そこに書かれた素晴らしい物語の虜となり、
気が付けば夢中で自分のノートパソコンに模写していました。
そんなある日、彼のパソコンに保存されたその小説をたまたま読んだドラは、
夫の書いた新作小説だと勘違いし、彼に出版社に持ち込むように提案。
ローリーは知り合いの編集者にその小説を見せるのですが、
あれよあれよという間に彼名義で出版が決まり、ベストセラーとなって、
文芸奨励賞まで受賞し、一躍有名作家の仲間入りをしてしまいます。
ところが、そんな彼のもとに本当の著者である老人が現れ…、という話です。

物語としては、そう珍しいタイプのものではない気がしますが、
なんだかとてもワクワクする展開です。
盗作は悪いことなのはわかっていますが、ローリーがそんな悪い人間には見えず、
ちょっと共感してしまう巧い演出だったように思います。
彼は他人の小説を自分のノートパソコンに写してしまったわけですが、
何も端からパクッてやろうと思っていたわけではありません。
あまりに感銘を受けたため、丸写しすることで言葉を指で感じたかったのです。
やったことはないけど、写経する感覚に近いのかもしれませんね。
句読点や綴りのミスまで完コピするのですが、パクるつもりがあれば、
自分らしい言葉に改変するなど巧妙にアレンジするはずですからね。
それを出版社に持ち込んだ時も、編集者から「意見を聞ければ」くらいの気持ちでした。
そうしているうちに、その小説が自分のものだと錯覚しちゃったんでしょうね。

何より本物の著者が現れてからのローリーはいい人すぎます。
いや、いい人って言うのは語弊があるかな。
その著者の老人は、その事実を公表するでもなく、
ただただ彼に、その小説を書いた経緯や心境を伝えに来たのです。
その老人にとっては自伝的な小説だったため、彼名義で出版されたことで、
自分の人生が盗まれたと思い、彼に罪悪感を抱かせるのが目的のようですが、
そこで本当に罪悪感を抱いてしまう彼のセンシティブさに同情します。
普通、盗作するような図々しい奴は、事実を公表されないなんてラッキーとばかりに、
その後ものうのうと暮らしそうなものですが、彼は完全に罪悪感に囚われ、
酒に溺れ、妻や編集者に事実を告白してしまいます。
代理人である編集者に止められて、世間にまでは公表しませんでしたが…。
代理人は著者の老人に儲けの一部や映画化の権利を分配して許してもらえと指示。
ローリーも何とか償いたいとお金を用意して老人に会いに行きますが、
老人の目的はお金ではないので許してはもらえません。
その後すぐ老人は他界し、文字通り秘密は墓場まで持って行かれますが、
センシティブな彼は一生罪悪感を引きずって生きていくことに…。
ある意味、一生棒に振ったようなようなものでしょう。

著者の老人の憤りも尤もだと思いますが、そもそも原稿を失くしたのは老人のミスで、
もし小説家であるローリーがその原稿を発見しなければ、
この名作は未来永劫陽の目を見ることはなかったはずです。
そうなってしまうと文学界にとっても大きな損失だと思うので、
どんな形であれその小説が世に出たのはいいことだと思います。
老人も他人名義でも自分の小説が高く評価されたのは内心嬉しいんじゃないかな?
出版するために他人名義で書かれる本って意外と多いと思うしね。
まぁ一言一句違わない内容の中で、「窓辺の涙」という題名だけは、
老人が考えたものではないのでかなり不満そうでしたが…。

そんなローリーの盗作を巡る物語は面白かったのですが、
本作は入れ子構造になっており、その部分は劇中劇となっているのがネックです。
ローリーの物語はデニス・クエイド演じる人気作家ハモンドの新作小説で、
ハモンドが朗読会で自身の小説を読むという構成で物語が進むのですが、
ローリーの物語の続きが気になるのに、途中で朗読会の場面に戻ったりするんですよね。
そのハモンドがどういう人物なのかもなかなかわからないし…。
結局ハモンドの新作小説は彼の自伝で、ローリーは若い頃の彼自身だったのですが、
クーパーとクエイドではちょっとイメージが違うような…。
外見的には同系統かもしれないけど性格がかなり違う気がします。
センシティブなローリーがこんな小説を書かくとは思えないです。
まぁ新作小説はあくまでフィクションとして出版されているので、
歳をとったローリーがハモンドということにはならないんだけど…。
もし告白という意味で書いたなら、ノンフィクションにするはずですよね。
実際にはローリーの物語の中で、老人の執筆当時の話、
つまりフィクション小説「窓辺の涙」の元になった話も描かれるので、
劇中劇中劇という三重の入れ子構造になっています。
回想中に回想を入れるのは構成上あまりよくない気がするし、テンポが悪くなるので、
朗読会のシーンはラストの後日談にして、せめて二重の入れ子構造にするべきでした。

ハモンドは作家として成功しているので、盗作ではない2作目以降も、
それなりに売れたってことでしょうね。
まぁ小説が売れるには、中身よりも作家のネームバリューが大切なのは、
評価は微妙なのに100万部以上売れている村上春樹の新作が証明していると思います。
ハモンドは人気作家にはなったものの、私生活まで順風満帆とは行かず、
家庭は崩壊しているようで、妻ドラとも離婚してしまっているみたいです。
ちなみにドラを演じるゾーイ・サルダナは、ローリーを演じるクーパーと、
私生活でもパートナーらしいですね。

構成が懲りすぎて逆効果だったところもありましたが、概ね面白い作品でした。

関連作リンク(ブラッドリー・クーパーの主な出演作)
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
特攻野郎Aチーム THE MOVIE
リミットレス
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
HIT&RUN
世界にひとつのプレイブック

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