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カルテット!人生のオペラハウス

本文のみ。

カルテット!人生のオペラハウス
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2013年4月19日日本公開。
戯曲を映画化したイギリスのヒューマンコメディ。

第一線を退いた音楽家たちが生活している「ビーチャム・ハウス」では、経営難のホーム存続を懸けてコンサートの準備に追われていた。そこで余生を過ごすレジー(トム・コートネイ)、シシー(ポーリーン・コリンズ)、ウィルフ(ビリー・コノリー)たちのもとに、かつてのカルテット仲間だったものの確執を残して去っていったプリマドンナのジーン(マギー・スミス)が入居する。コンサートを控えたメンバーは、疎遠だった彼女との再会に当惑するが……。(シネマトゥデイより)



本作は俳優ダスティン・ホフマンの初監督作品らしいです。
ボクは世代的に彼の出演作はあまり観てないものの、
彼が俳優として評価が高いのは知っています。
最近はあまり有名映画に出演していないみたいですが、監督業なんてしてたんですね。
でも、前回のオスカーである『アルゴ』の件もあるので一概には言えないけど、
どんな名優であれ、俳優がメガホンを取った作品の打率は低いと思います。
それがましてや初監督作品ともなれば更に打率は下がります。
とはいえ、出演者として長年映画制作に関わっている分、
若い新人監督よりはマシなのかもしれません。
本作も初監督作品の割にはなかなかよかったと思います。
特にオープニングでの「乾杯の歌」のスコアと映像をシンクロさせるシーンなんかは、
けっこう熟練の技を感じさせる演出で、気分が盛り上がったしね。
ただ、あくまで「初監督の割に」よかっただけで、文句なしに面白いかと言えば…。

ダスティン・ホフマンは、もう齢70も半ばで、初監督にして遺作になりかねない年齢。
そんな老監督が撮った本作は、当然というべきか老人の物語になります。
その時点でアラサーのボクはお呼びでない作品な懸念はありましたが、
案の定、少々年配向けの内容だったことは否めないと思います。
(お客さんには30代くらいの人もけっこういたけど。)
その懸念があるなら、初めから観に行かなければよかったのですが、
音楽映画が大好きなので、引退した音楽家たちが集まる老人ホームが舞台の本作は、
きっと音楽に溢れた作品で、とても面白そうだと思ってしまいました。

いざ観てみると、確かに音楽に溢れた作品ではあったと思います。
老人ホームの入居者を演じるのも、かつて有名な歌劇の舞台に立った人や、
どこかの有名な楽団に所属していた、知る人ぞ知る元一流の音楽家ばかりです。
(ボクはひとりも知りませんが…。)
そんな彼らが才能を如何なく発揮しているので、本作は隅から隅まで音楽尽くしです。
でもやっぱり餅は餅屋で、どんな有名な音楽家であっても演技となると…。
もちろん歌劇出身の人も多いので、演技が全く出来ないわけではないですが、
商業映画となれば、主要キャストは現役の俳優を使うことになりますよね。
本作の主演である大女優マギー・スミスをはじめ、
主要キャストの4人全員、現役の大御所俳優を起用しています。

すると今度は、音楽映画として俳優の歌唱力が問題になります。
ミュージカル映画でメリル・ストリープが失笑されたこともあったけど、
若い俳優なら特訓次第で歌くらい誤魔化せるかもしれないけど、
平均年齢70を超える彼女らにそれを求めるのは酷というもので…。
ましてや4人は引退しているとはいえ四大オペラ歌手という設定で、
どう考えても彼女らに実際に歌ってもらうのは不可能です。
で、結局彼女らは劇中で歌うことはありませんでしたが、
主役たちが歌わない(音楽をしない)なんて、音楽映画としてどうなの?
鑑賞後、不完全燃焼でモヤモヤしますよ。
ラストは彼女らがカルテットで、リゴレットの「美しい恋の乙女よ」を歌うけど、
吹替えによる歌声だけで、彼女らが歌ってるシーンが映されることはなく…。
最悪、彼女らには口パクしてもらい、プロのオペラ歌手がアフレコするのでもいいから、
クライマックスくらいは彼女らの歌うシーンを観たかったと思います。
なので、音楽映画としてはガッカリな出来でした。

でも、ヒューマンコメディ映画としては、それなりに楽しめたのも事実です。
老人ホームが舞台ですが、一般的な老人ホームのイメージとは違って、
入居者はみんな元気すぎるほど元気で、とても楽しそうに生活しています。
老後の生活を描く映画といえば、最近ではオスカー外国語映画賞の『愛、アムール』や、
マギー・スミスも出演した『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』を観ましたが、
登場人物の多くが後期高齢者なだけあって、誰かが死ぬ展開になることが多いです。
ボクは祖父母を亡くしたことから、立ち直れていないので、
高齢者が老衰などで亡くなる展開は辛く、あまり観たくないのですが、
本作はその点あんなに老人ばかりにも関わらず、誰一人として亡くなりません。
きっとクライマックスである生誕記念ガラ当日までに、
カルテット(四重唱)はトリオ(三重唱)になると覚悟して観ていたのですが、
カルテットでガラ当日を迎えることができ、とても安堵感を覚えました。
けっこう死亡フラグ的な展開があったのでハラハラしましたが…。

その死亡フラグ的な展開というのが、カルテットのひとりであるシシーが、
ある出来事がキッカケで、彼女の認知症が進行してしまうというものです。
認知症も老人を描く作品では避けて通れない展開ですが、ボクはやっぱり苦手…。
死なないにしてもガラ当日に歌えない状況になる予感をヒシヒシ感じました。
結局、当日までは持ち堪えたみたいですが、このカルテットで歌えるのは、
おそらくこのガラが最後なのだろうと思うと、ちょっと沈みますね…。
まぁそれは勝手な想像なので、本作自体は完全なハッピーエンドですが。

老人たちが主人公で、音楽を題材にしたヒューマンコメディ映画といえば、
老人合唱団が舞台の映画『アンコール!!』が再来月に公開されます。
予告編を観る限りでは、とても面白そうなので観に行く予定です。
誰も死なない物語であることを祈りながら…。

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